あなた仕様の健康法「低FODMAP食」で引き算の腸活を

生活様式の大幅な変化に伴い、健康や腸活への関心が高まってから数年が経ちましたが、「これを食べると健康になれる」とわかっていても、結果を得られるまで特定の物を食べ続けたりするのは至難の業。どの方法があなたに合っているかを見つけるのも大変です。
そして私達の身体は一人ひとり、親子や兄弟であっても違う体質を持っているので一般的に胃腸に良いとされている食べ物を摂取しても体質によっては不調を引き起こしてしまうこともあるそうです。

そこで今回は、昨今改めて注目されているFODMAP食(フォドマップ食)と呼ばれる食事療法の手引をもとに、あなたの身体と向き合いながら心地よい暮らしを続けられる引き算の腸活をご紹介します。

あなた仕様のヘルスケア「低FODMAP食」

そもそもFODMAPとは

FODMAP(フォドマップ)とは食べ物や飲み物に含まれる糖質の一種の頭文字を取った総称です。
FODMAPに該当する糖質は、他の糖質は異なる特性を持ちます。それは、小腸で吸収されにくく、大腸内で発酵をすることで腸内環境のバランスを損なってしまうというもの。

FODMAPのそれぞれの糖質は大きく分けて以下の5種類

F(fermentable):発酵性の糖質(小麦・パン・パスタなど)
O(oligosaccharides):オリゴ糖 
D(disaccharides):二糖類
M(monosaccharides):単糖類
AND
P(polyols):糖アルコール

これだけを見ると専門的な用語の様で難しく感じてしまいますが、インターネットや関連書籍でFODMAP食について調べるとFODMAPに該当する主な食品の情報を数多く参照することができます。

どの研究においても、小麦・パン・パスタをはじめとする主食系から、玉ねぎやリンゴ、驚くことに腸内環境を整えるために推奨されている大豆や牛乳、ヨーグルトまで該当しています。
これらの多くはいわゆる健康食に該当するものも多く、意識的に摂取をしている方も多いのですが、中には体調が良くならないという悩みや、さらに悪化してしまったような気がするという場合も。

ではどうして、健康に良いとされている食品が胃腸の健康を損なってしまうのでしょうか?

ポイントは「消化の相性」にありました。医療現場では治療法として知られる、FODMAPメソッド、
現在多くの医療機関で栄養療法の一種として原因不明の胃腸の不調を改善するために活用されています。

胃腸の不調、こんなサインはありませんか?

セルフチェックをしてみてください。

  • 思い当たるストレスや食事はないのに便秘や下痢をくりかえしてしまう
  • お腹が張っているような苦しさがある
  • 胃や腸にもやもやとした不快感がある
  • 食べ過ぎ飲みすぎをしていないのに胃がもたれる

医療機関を「受診するかどうか迷ってしまう」・「行くほどではないけれど」といった不調を感じる、内視鏡検査をしても異常なしといった原因不明の胃腸の不快感の原因、もしかしたら消化器官がオーバーワーク気味になってしまっているからかもしれません。
不調の究明そして改善に効果があるとされているのが、FODMAP食品の摂取を控える低FODMAP食なのです。

特定の疾患が無い場合、一時的に薬やサプリメントで症状を抑えても、それらをやめてしまうと症状が再発してしまったり、場合によってはより強い症状が身体に出てしまうことも。
今ある食生活を大幅に変えることなく、心身ともに急激な負荷のかからない低FODMAP食は健康の強い味方です。それではより詳しくFODMAPそしてFODMAP食についてみていきましょう。

低FODMAP食 基本のキ

そもそもFODMAPとは、適正範囲を越えた際に不調を引き起こしてしまう可能性のある糖質で、人によって同じFODMAPを摂取しても不調の出方や程度が違ったり、FODMAPに該当しているものを摂取しても不調が出ない人もいます。
同じFODMAPに該当するものを摂取しても不調が出るものと出ないものもあったりするのです。ポイントは相性と適正量です
つまり、あなたにとって相性の悪い食べ物を見つけその適正量を理解し、摂取することができれば健康でストレスなく暮らすことができるということ。
低FODMAP食は適正量をみつける、あなたサイズの健康食を見つける作業でもあるのです。

FODMAPを摂取するとどうなる?

FODMAPに該当する糖質は、小腸で吸収されにくいという特性があるというのは最初の方でもお話をしました。それではFODMAPが適正値を超えてしまったときに体では実際にどのようなことが起こり、不調を感じるのかを見ていきましょう。

FODMAPを過剰に摂取しすぎてしまうと消化・吸収が追い付かず小腸の内部で糖質の濃度が高くなってしまいます。すると身体は、糖質の濃度を薄めようと大量の水分が小腸に集まり、小腸は刺激を受けやすい状態に。
少しの刺激で小腸が過剰に反応してしまうので、腹痛や下痢を繰り返す原因になってしまいます。また小腸で消化吸収されなかった糖質が大腸まで下がってきてしまい腸内細菌の餌になることで過度な発酵が進む原因になることも。その結果ガスが発生したり、便秘を起こしてしまうこともあるのです。

ということで、腸活や消化促進のために積極的に食べていた物が過剰な消化活動を招いてしまう可能性があり、その原因となる食べ物にFODMAPが含まれているということなのです。
今まで、腸活に取り組んできても思うような結果が得られなかった方や、発酵食品や乳製品でお腹の調子が悪くなってしまう方はFODMAPとの相性を見直してみると新たな発見があるかもしれません。

あなた仕様に「育てる腸活」

さて、ここまでで一通りFODMAPについてご紹介してきましたが、「健康に気を遣おう」と思うのは何かすでに不調を感じている場合がほとんどですから、新しい健康習慣を取り入れる際には、不調を抱えながらでも安心して始められること、結果を感じられるまで継続できることがとても大切です。
できるだけ今のあなたのまま、溜め込んだり、急激に変化をさせるのではなく、不調の原因を探りながらあなたの身体と会話をするように、あなただけの健康を育てる気持ちで楽しめたら素敵ですよね。

特別な食べ物や調理器具は一切不要
特定の食べ物を断食しなくてもいい

という特徴のある低FODMAP食は、「無理をしない」セルフケアの面でも心強い味方になってくれます。

早速実践!低FODMAP食

それでは、実際にFODMAPを少しずつ減らしていく低FODMAP食の実践について、いくつかのポイントを目印にご紹介します。

1:低FODMAP食とは?

その名の通りFODMAPの値が低い食事のことを指します。
FODMAPを活用した食事療法は、FODMAPの摂取量を減らしていき、不調の原因となる食物を見つけ、食事によって引き起こされる消化器系の不調の改善を目指します。
不調の原因の可能性がある食べ物を全く摂取しないのではなく段階的に減らしていくことでも効果は認められているので、日々のストレスにならない範囲で取り組むのがおすすめです。

2:まずはFODMAPを減らす習慣を

医療の現場では目安としてまずは3週間の継続が推奨されています。
身体に負担をかけずに体質改善を行うためには、緩やかな変化が重要になってきます。ダイエットや筋力増強といった目的ではないので焦らずに、日々のあなたの体調に耳を傾けると小さな変化を楽しむことができるかもしれません。
治療としての低FODMAP食はより厳密なルールがあり、専門医や専門の知識を持った栄養士の指導の下細かな管理をしながら進めていくものですが、治療の必要がない不調では、身体に強いストレスがかかってしまう可能性もあるので、安全性を保つためにも、厳しい食事制限を設けるのは避けた方が良いとされています。

3:効果が見られたら少しずつ増やしていく

一定の期間、低FODMAP食を続けると少しずつ身体に変化を感じられるようになってきます。
そこで3週間から5週間継続をしたのちに、摂取をやめていた高FODMAP食品を少しずつまた食事に加えていきます。
摂取量を増やす中で、再び不調が見られたら相性の悪いFODMAPの特定ができるようになります。
こうして相性の良い・悪いFODMAPを見つけることで、あなたの体質に合った食習慣を組み立てていけるようになるのです。

4:続けるコツは?

日常的になんとなく食べているものから減らしてみましょう。
FODMAPに含まれる食品として、小麦や納豆、シリアル、ヨーグルトなどは朝食を置き換えるだけで簡単に摂取量を減らすことができるので、無理なく続けやすい食品です。

5:低FODMAP食で気を付けることは?

一日の中で体調の点検の時間を設け、控えたFODMAP食品、それによって感じた胃腸の状態を記録してみてください。
変化の振り返りに役立つことに加え、不調が改善されないときに原因を分析することができますし、記録をしていく中で改善されない不調を見つけた場合には、別の疾患の可能性も考えることにも活用できます。併せて、どのような状態が心地いいのか、あなたにとっての健康とはどのような状態なのかなどを言葉にしてみるとモチベーションにも繋がりますね。

6:身近な低FODMAP食で美味しい置き換えを

置き換えと聞くと、無味乾燥なものを食べなければというイメージや特別な料理法が必要なように感じますが、FODMAPが少ない食品を選ぶだけなのでやり方はとてもシンプルです。
例えば、お米や肉類全般、魚類全般(缶詰等の加工食はNG)はもちろんのこと、健康食では真っ先に除外されてしまうようなコーヒーもOK。なんとビール、ウイスキー、日本酒や辛口のワインも低FODMAP食として摂取が可能です。(ただしカフェイン、アルコール類は一般的な適正量内)

低FODMAP食は引き算の健康法です。
食べられるものの選択肢がとても広いので、普段の食生活を大幅に変えることなく体質改善ができるのも続けやすい理由です。外食もある程度は、気兼ねなくできるというのも現代人にとっては嬉しいポイントですよね。
どの食べ物が高FODMAPに該当するのか、置き換えにはどんな食べ物を選べるのかなど今日から活躍する、FODMAP一覧は実際にFODMAP食事療法をIBS(過敏性腸症候群)の治療に活用している医療機関のホームページをはじめ、ウェブサイトや書籍では低FODMAP食のレシピもチェックすることができるので是非役立ててみてくださいね。

心と身体は一生涯のお付き合い、あなただけの心地よさを

人生100年時代と呼ばれる現代社会。一緒に過ごす時間が最も長いのはもちろん、あなた自身の心と身体です。大切なお洋服や家具、植物たちを手入れするようにあなたサイズの健康をぜひ大切にしてくださいね。

参考資料
・江田 証,「パン、豆類、ヨーグルト、リンゴを食べてはいけません」さくら舎(2017)
・江田 証,「なんだかよくわからない「お腹の不調」はこの食事で治せる!世界が認めた低FODMAP食事法」PHP研究所(2017)
・パッツィー・キャッソス著, 天戸 文美訳,「過敏性腸症候群は食事で治る!」弘文堂(2016)

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